海部刀の思い出

 毎年のことですがこの時期仕事の忙しさが尋常じゃないです。
 休日出勤続きで居合の稽古にも行けずストレスが溜まります。
 そんなバタバタのなかでヤフオクにちょっと気になる出品物があったので
す、「阿州住祐芳」銘のある刀匠鍔、元治二年二月日の年記も入っており
新々刀期の刀匠鍔のようで、阿州住とありますから海部刀の刀匠か?と
思い調べてみました。
 私の持っている海部刀関係の資料は、海南町立博物館発行の「海部刀
物語」という冊子だけですが、そのなかに新々刀期の海部刀工に祐芳の
名前がありました。
 海部刀には非常に興味がありその刀匠鍔ですからこれは入手したいと
思ったのですが、仕事からの帰りが遅い日々がず~~っと続いて気がつ
たらオークションが終了
 しかも落札額が7,650円!!!わー欲しかったです。
 縁がなかったかぁー、残念。
 
 私が海部刀に興味を持ったのは、偶然海部刀を入手したことがきっか
けでした。
 6~7年位前のことです、当時ちょこちょこ顔を出していた骨董店があり
そこの店主に「こんなのがはいったよ。」と見せられたのが海部刀でした。
 当時は海部刀なんて知らずなんとなく良いなと思い買ってしまったので
すが、銘は「阿州住氏吉」の二尺二寸ほどの古刀だったと思います。
 岩切り海部と小札が付いていたのが印象的でした。
 入手したはいいが海部刀なんて全然知らないし、とにかく調べてみたら
これがまた中世戦国期から連綿と続く阿波の刀、有名ではないですか!
 そのなかでも氏吉は初代であれば南北朝まで遡る超有名どころ。
 東北の地では海部刀なんてめったに見ませんから珍品を手に入れた
わけですし、本人も海部刀けっこう気にいっていました。
 ところがです、なにを血迷ったか手放してしまったのですよ海部刀を。
 ちょっと良いなと思った刀装具がありまして、その下取りにだしてしまっ
たのです。
 今から思うとバカなことをしました、手放さなければよかったと思ってい
ます。
 今回の鍔の件もあり海部刀は私には縁の無いものなのかなぁ、などと
ちょっと弱気です。