刀を買うということ。

 巷では非常に評判の悪い日本刀のネットオークション。
 ・現物を手にとって見ることができない。
 ・高額品にもかかわらず返品できない場合が多い。
 ・そもそもネットオークションに出品されている刀自体がろくな物じゃない等々。
 けっこう評判は悪いです、それでもネットオークションで刀を購入する人は多く、かく
いう私も一振り買ってしまった経験があります。
 やはり掘り出し品があるのでは?とか、普通の刀剣店で購入するより安く手にはいるのでは?とかいった思いがあるからですかね。
 さてそんな悪名高いネットオークションですが私自身、わりとチェックしているのです、そしてここ一月の間で「おや!」と思った刀が二振りほどありました。
 一振り目は会津虎徹として出品されていたニ尺四寸の刀で、銘が「仙台住藤原道長作」、長寸でガッシリとした感じの画像の刀で、なんで仙台住と銘切りされているのに会津徹なのかな?と疑問に思い刀に詳しい方に画像を見てもらったのですが、
なんとその方のお持ちの押し形集に仙台住藤原道長の刀がありました、幕末の新々刀のようなのですが見たところ茎の形が違い銘切りも違うような??
 「偽銘なんですかね?」と尋ねたところ
 「そうとも言えないよ、初代と二代目という場合もあるし銘自体はしっかりと切って
あるし、だいたいこんな無名の刀匠の偽銘刀作ってもしょうがないよ。鑑定にだし
ても正真として通るかもね、とにかく比較する資料が少なすぎますね。郷土刀としての資料的価値はありますけどあまり深追いはやめたほうがいいですよ。」
 結局オークションの方は18万円まで金額はいきましたがキャンセルされて終了。
 現物を入手できればもうちょっと詳しいことが判ったかもしれませんが
 
 もう一振りは「波平行安」銘の刃長64.8cmの刀。
 説明では真贋不明とされておりましたが姿形は明らかに古刀。
 波平と言えば、奥州の刀工となんらかの関係があったのではとも言われています。
 かなうならば一振り欲しいと思っていた刀ではあるのですが、状態がいまいちで研磨の必要があり、研磨後やはり銘はダメとなったらショックは大きいでしょうね。
 ただ非常にロマンというか夢は感じる刀でして、落札額もあの状態にしては十数万円(詳しい落札額は失念。)まで行き、もしかして銘は正真だったのかな?と思って
しまいました。
 
 ネットオークションにも時々ドキッとする刀が出てきますが前述の刀に詳しい方曰く
 「刀を購入するということは先人が代々伝えてきた物を一時的にお預かりするだけ
のことで後代に伝えていかなければなりません。刀を所有する人は心も磨かなければなりませんよ、心を磨くということは刀の購入を我慢して我慢してお金を貯めより
良い刀を手にいれるということも含むんですよ。十万円の刀十振り買うより同じ金額
だして百万円の刀一振り買うほうが良いですよ、我慢も大事ですよ鉄蔵さん。」
 ほとんど私のこと見透かされてしまいドキッとしました。
 確かに私が刀に今までかけたお金を考えたら冷や汗ものです(刀剣愛好家
から見たらたいした金額じゃないかもしれませんが、一般サラリーマンとしてはとても
妻には言える額ではありませんよ
 良い刀を手にいれるにはホントに我慢が大事ですね。