長谷川幸三郎の刳り小刀を手に入れました。
玄能鍛冶として有名であった幸三郎さんですが、平成16年に亡くなられて
います。まだ69歳でした。
玄能鍛冶ではありましたが、小刀もけっこう作られていたようで私もこの
刳り小刀の他にも2本ほど持っています。
刳り小刀はあまり持っていないのですが、幸三郎の刳り小刀は切っ先の
鋭さが特に印象的です。
鞘の造りが非常にしっかりしていて、安物の小刀とは一線をかくしていま
す。
この小刀ですが幸三郎の銘は入っておらず、代わりに「直」の刻印が入って
いました。
「直」の刻印が無ければ幸三郎作かどうかは判らなかったと思います。
幸三郎の刳り小刀でも柄の部分に幸三郎と銘が入っているものもあるよう
ですが、この小刀には幸三郎銘は入れられていません。
実は通常の小刀で「直」の銘が入っている物を持っているのですが、そちら
にも幸三郎の銘は入っておりません。
「直」銘の小刀は幸三郎の銘は入っていないのかというと、そうでもない
ようで、「直 幸三郎」と銘が切られている小刀もあります。
「直」の通常タイプの小刀も紹介しておきます。
こちらの小刀は、
八分幅切り出し。
製作:昭和55~56年(いまから40年も前の品でした。)
鋼材:日立安来白紙二号
幸三郎が40代の頃の小刀ですから作品的には油ののりきった頃の小刀と
いったところでしょうか。
晩年の作とは明らかに作風が違います。
この小刀は面がキッチリと出されていてカチッとした造りのような感じが
しますが、もう少し歳を重ねた時の作は丸みのある感じがします。
同じ職人でも作った年代により雰囲気がかなり違っているのはかなり興味
深いですね。